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今回は、『事業担当者のための逆引きビジネス法務ハンドブック M&A契約書式編』の「譲渡価格の調整」(P72)、「アーン・アウト」(P76)、及び「前提条件」(P80)を解説します。
【板書】P41

【板書】P75
- 前提
- 企業価値(A):1,000
- 債権者価値(純有利子負債)(B):300
- 株主価値(C):700(=A−B)
- 発行済株式総数(D):10株
- 株価:@70(C÷D)
- パターンA:売主が、契約締結後、クロージングまでの間に、借入を100行い、配当を100行った場合の価格調整(利息の影響は無視)
- 債権者価値(純有利子負債):300→400
- 株主価値:700→600
- 株価:@70→@60
- 結論:対価の“減額”調整が必要(売主が買主に対し一部返金する)
- パターンB:売主が、売掛金の回収を早め、現金を100増やした場合の価格調整
- 債権者価値(純有利子負債):300→200
- 株主価値:700→800
- 株価:@70→@80
- 注意:運転資本(WC:Working Capital)の変化にも注意
- 売掛金が減少しており、WCも減少する。
- このことは、クロージング時のWCを基準として考えると、対価の算定時にはWCを余分に見積もっていたことを意味する。
- そこで、本来は、その“余分に見積もっていた分”を売主が買主に返金しなければならない。
- 結論:対価の調整は行わない(P76注釈30参照)
【板書】P76

【板書】P79

【板書】P85
- 独占禁止法第10条(会社の株式保有の制限、届出義務)第8項
- 第2項の規定による届出を行つた会社は、届出受理の日から30日を経過するまでは、当該届出に係る株式の取得をしてはならない。ただし、公正取引委員会は、その必要があると認める場合には、当該期間を短縮することができる。