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法務デュー・デリジェンス

「事業担当者のための逆引きビジネス法務ハンドブック」解説セミナー

· 逆引MA書式,逆引法務

今回は、『事業担当者のための逆引きビジネス法務ハンドブック』322頁、及び『事業担当者のための逆引きビジネス法務ハンドブック M&A契約書式編』94頁で紹介する、「法務デュー・デリジェンス」を解説します。

【凡例】

  • 「逆引法務」:事業担当者のための逆引きビジネス法務ハンドブック
  • 「逆引書式」:事業担当者のための逆引きビジネス法務ハンドブック M&A契約書式編

【法務DDとは何か】

  • 意義:法務デュー・デリジェンス(法務DD)とは、当該M&Aや対象会社に関する法的リスクの有無及びその程度を明らかにするための監査のことをいう(逆引法務P318)。 
  • 具体例:対象会社に訴訟は係属していないか?/係属している場合、その内容はどのようなものか?/敗訴の可能性はどの程度か?/敗訴した場合の金額的インパクト・事業に与えるインパクトはどの程度か?

【法務DDの必要性】

  • 必要性:法務DDは、M&Aという重要な経営判断を行うに際しての取締役の「善管注意義務」との関係で必要となる。すなわち、通常行われるべきDDを実施せず取引を実行し、その結果会社に損害が生じたような場合には、取締役に善管注意義務違反が生ずる可能性がある(逆引法務P322)。
    • 善管注意義務違反の有無の判断:経営判断原則が採用されており、意思決定の「内容」と「過程」の合理性がチェックされる(逆引法務P47・P322、逆引書式P64)。
    • 表明保証との関係:法務DDを行わなくても、M&A契約で規定される表明保証でリスクをカバーできるのではないかという議論もあるが、以下の理由により、必ずしも十分ではないと考えられている(逆引法務P322、逆引書式P94)。
      • そもそも事後的な金銭賠償では償えない場合もある
      • 事後的な救済である補償・賠償では解決に時間を要する
      • 損失・損害の立証が困難である
      • 請求時に売主が無資力となっている可能性がある

【法務DDの範囲:何をチェックするか?】

  • 範囲:法務DDの範囲は、基本的に、表明保証の範囲と共通する(逆引書式P99参照)。
  • 視点:法務DDの基本的な視点は以下のとおり(逆引法務P322)。
    • M&Aの実行の障害となり得る事項:法令・契約・対象会社の内部規則等により、そもそも、当該M&A取引を実行することそのものが制限されていないかの確認。
      • :そもそも、売主は株式を保有し処分する権限を有しているのかどうか。
    • 事業継続の障害となり得る事項:当該M&A取引によって対象会社の株主構成が変更すること等を理由として、対象会社がこれまで行っていた事業が従前どおり継続できなくなってしまうおそれがないかの確認。
      • :対象会社の事業の基礎となる重要な契約(例:ライセンス契約)が、当該M&Aが実行されることによって終了してしまわないか(いわゆるChange of Controlの問題)。 
    • その他買収対象候補の企業価値に影響を与え得る事項:訴訟・コンプライアンス問題等、対象会社の企業価値に影響を与える(企業価値を毀損する)おそれのある事項が存在しないかの確認。

【法務DDの進め方:どうチェックするか?】

  • フルDDの場合:上記範囲を網羅的にチェックすることになる。
  • ミニマムDDの場合:スコープ及びプロセスの設計が重要となる(逆引法務P324)。
    • 公表情報を有効活用する方法:対象会社が上場会社であれば、開示資料の中のリスク情報に相当する部分を確認するという方法がある。これにより得られた情報を元に、マネジメントインタビュー等で情報を深堀すれば、効率的な法務DDを進めることができる。 
    • 前回M&Aの法務DDレポートを入手する:前回のM&Aの法務DDレポートは必ずしも入手可能というわけではないが、前回M&A実行者である既存株主と良好な関係を有している場合や、既存株主から出資を求められているような場合には、情報を共有してくれる場合もある。
    • 前回M&Aの投資契約書を入手する:前回のM&Aの投資契約書の中の、「表明保証」「前提条件」「コベナンツ」等の規定を確認することにより、対象会社が抱える法的リスクについてある程度の“当たり”を付けることが可能である。
    • 時系列表/事業系統図で事業リスクのあたりをつける:主要な事業イベントを時系列で整理した「時系列表」や、対象会社の事業を支える主要な当事者及び取引の流れをバリューチェーンに沿って整理をした「事業系統図」を作成することで、事業リスクを効率的に洗い出すことが可能となる(逆引法務P33参照)。
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